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東校

台本置場

to be con…
to be continued

キャスト
霧島 憂 (きりしま ゆう) 
小鳥遊 慌 (たかなし こう)
愛川 心 (あいかわ こころ) 心臓移植が必要。
工藤 馴 (くどう じゅん) 男or女。円錐角膜。角膜移植が必要。杖が必要。

看護士
大学の先生 男or女
死神  単調


病室 

霧島、ベッドに座っている。

死神 登場

死神 ごきげんよう

霧島 ……?誰だい?

死神 私は死神です。死の神様

霧島 死神?(嘲笑)なんだい?僕の魂でも取りに来たの?

死神 警告に来ました。

霧島 警告?

死神 霧島 憂。あなたは1ヶ月後に死にます

霧島 ははっ最近の死神は親切だね。わざわざ死ぬときを知らせてくれるんだ。

死神 知らせるか知らせないかは、気まぐれですから

霧島 気まぐれな死神ね。……おもしろい。

死神 信じてませんね

霧島 信じてるさ。

死神 その言葉が信じられません。

霧島 別に僕が信じようが信じまいが君にはどうだっていいだろう?警告しに来ただけなんだから。

死神 それも、そうですね。……お望みなら、なにか、願い事でも叶えてあげましょうか?

霧島 へぇ。そんなこともできるのかい?

死神 もちろん。魂と引き換えです。

霧島 ……ふーん。

死神 残り一か月しかない寿命をさらに縮めてまで叶えたい願いはありますか?

霧島 ……。

死神 まあ、死にかけのあなたの魂を使ったって一度くらいしか願いを叶えられそうにないですがね。

霧島 一度だけ……ね。

死神 等価交換、ですよ。

霧島 等価交換ね……。難しい言葉を知ってるじゃないか。

死神 馬鹿にしないでください。

霧島 まあ、僕もハガレンで知っただけなんだけどね。

死神 ………………………………。……それで、どうするんですか。



              暗転

死神 死ぬ前に、あなたは何を願いますか?


明点

屋上 霧島、工藤がいる。工藤は霧島から離れたところにいる
霧島、電話をかける。
音響 電子音
      
その後、音響 小鳥遊の声で「もしもし」
霧島 ああ、小鳥遊くんかい?いまどこにいる?

小鳥遊 登場。
音響・小鳥遊 あんたの後ろ。

     霧島 振り向く。
     小鳥遊 携帯を切る。

霧島 やあ、久しぶり

小鳥遊 久しぶり、じゃねえよ。なんでまた、こんな寒い屋上なんかに呼び出すんだよ。うぅっさみ

霧島 相変わらず、年上の人に対する言葉遣いがなってないね。

小鳥遊 あんたにだけだよ。ってか、あんた入院中だろ。

霧島 だから、病院に呼んだんだろう?

小鳥遊 病室に呼べよ。それに、あんた寝てなくていいのかよ。あと少しで退院のはずだろ。

霧島 ……それはどうだろうね。

小鳥遊 あ?

霧島 なんでもないよ。

小鳥遊 ふぅん。んで、なんで俺は呼び出されたわけ?

霧島 それはね、これだよ。(手紙を出す)

小鳥遊 あ?手紙?

霧島 そう、手紙だ。ここに屋上に来いと書かれていたんだ。

小鳥遊 ふーん……それで?

霧島 それだけだよ。

小鳥遊 (コケる)それだけかよ!?俺が呼び出される理由がわかんないんだけど!

霧島 しょうがないよ。手紙にはそれだけしか書かれていなかったんだから。

小鳥遊 いやいやいや。あのな、俺が聞いてるのは、なんで俺がここに呼ばれたかってこと。(ため息)ちゃんと説明してくれよ。

霧島 そうだね。君には最初から説明したほうがいいだろうね。

小鳥遊 ああ、そうしてくれ。

霧島 あれは、今朝のことだった……。

回想  照明変わる

霧島 いつものように自分の病室で目覚めて、今日一日なにをして過ごそうかと思いながら、廊下を歩いていたときだった。

看護士 鈴木さん。鈴木さーん

霧島 ……。

看護士 ああ、いたいた鈴木さん。

霧島 え、あの、僕は霧島なんだけど。

看護士 あなたにletterがきてますよ、鈴木さん。

霧島 いや、だから、鈴木じゃなくて霧し¬―

看護士 ああー!大丈夫!中身は見てないわ!鈴木さんのprivacyに干渉するような真似はしませんから。(手紙を渡す)

霧島 これ鈴木さん宛て……

看護士 さあさ、中を見てみてなさい。

霧島 いや、これ僕のじゃな―(手紙を返そうとする)

看護士 (奪う)ああーそう!よろっしい!そこまで言うのなら、代わりに私が見てあげましょう。(手紙を見る)

霧島 あ、

看護士 なになに、『今日午後三時に屋上に来てください』ですって。

霧島 それだけですか?

看護士 まあ、これは、まさか、Love letterじゃないですか!

霧島 違うでしょうね。

看護士 なにを言うんですかMr,SUZUKI!

霧島 霧島です。

看護士 病院の屋上に呼び出される。こんなの告白か決闘。LoveかFightしかありえないでしょう!絶対にこれはLove letterです。

霧島 なんで、さっきから英語なんですか?

看護士 屋上で待つgirl!伝えたいAmour!

霧島 それフランス語です。

看護士 さあ、行くのよadone!

霧島 それイタリア語。


看護士 フッじゃあ、私はこれで。手紙、ちゃんと渡したわよ!それじゃ、До свидания!

霧島 それロシア語……。

      回想終了  照明変わる

霧島 というわけなんだ。

小鳥遊 はぁぁ!?

霧島 言ったろう。信じられないかもしれないけどって。

小鳥遊 信じる信じない以前に嘘だろ。どこの世界の看護士が霧島と鈴木を間違えるんだよ!

霧島 それはどうかな。

小鳥遊 っていうか、結局俺関係なかったじゃん。俺が呼ばれた意味がわからない。

霧島 ま、冗談はさておき。

小鳥遊 冗談かよ

霧島 君に伝えたい事があったんだ。

小鳥遊 伝えたいこと?

   工藤、小鳥遊に近づく。

工藤 なあ、君たち。

小鳥遊 な、なんだよ。

工藤 この……(手紙を出す)手紙。君たちにも届いたのか?

小鳥遊 手紙って

霧島 これだろう?(同じような手紙を出す)

工藤 ああ。君たちもその手紙に呼ばれてここに来たのか。

小鳥遊 俺はもらってないけどな。

霧島 朝起きたら病室においてあってね。

工藤 私は家の郵便受けに入れてあったんだ。

小鳥遊 ……どういうことだ。霧島以外にも手紙で呼び出されたやつがいるなんて……。

工藤 手紙をもらってないということは、君が手紙を送ってきたのか?

小鳥遊 いや、ちげぇよ。俺は、この人にメールで呼ばれてきたんだよ。

工藤 そうだったのか。

霧島 っていうか、呼び出された時間はとっくに過ぎてるんだけどね。

小鳥遊 そうなのか?

工藤 ああ。私もずっとここで待ってるんだけどね。

小鳥遊 やっぱ、いたずらとかじゃねーの?

霧島 それにしては、何人にも手紙を送るなんて、いたずらにしてはちょっと手が込みすぎだと思うけどね。

愛川、おずおずと登場。

小鳥遊 でも、あんた、こんないたずらかもしれない手紙に よく付き合う気になれたな。

工藤 それは――

愛川 あのー。

霧島 はい?

小鳥遊 ん?

愛川 すいません。その手紙(手紙を指す)……あなたたちももらったんですか?

工藤 あ、ああ、そうだよ。私も、彼もこの手紙をもらったんだ。

小鳥遊 ……もしかして、あんたも手紙をもらったのか?

愛川 ああ、はい。…これですよね。(手紙を出す)宛名がないので、誰が出したのか分からなくて。

霧島 宛名もなかったのによく来たね。

小鳥遊 そりゃあんたもだろ。

霧島 入院生活は退屈なんだ。暇つぶしに来てみたのさ。

愛川 あ、私も同じようなものです。療養生活が長くて、退屈してたので……。

小鳥遊 あんたも、入院してんのか?

愛川 ええ。あなたもですか?

小鳥遊 いや、俺は違う。入院してたこともあったけど。今はなんともない。

愛川 そうなんですか。

工藤 これで、手紙に集められた人は3人ってことになるね。

小鳥遊 そうなるな。

愛川 何なんでしょうね。これ。

霧島 まあ、とりあえず、自己紹介をしないかい?

工藤 そうだね。こうやって集められたのも何かの縁だしね。

霧島 僕は霧島 憂。現在入院中の身さ。

工藤 どこか、悪いのかい?

霧島 いや、ひどい風邪みたいなものさ。

工藤 そうか。私は工藤 馴。電子系の会社に勤めている。

小鳥遊 俺は、小鳥遊 慌。現役の高校生。なんでかわかんないけどこいつ(霧島)にここに呼ばれた。

愛川 じゃあ、小鳥遊さんは手紙をもらってないんですか?

小鳥遊 ああ。ま、霧島にメールで呼ばれたから、ある意味手紙で呼ばれたことになるけどな。あんたは?

愛川 あ、えっと私は、愛川 心といいます。

小鳥遊 心?変わった名前だな。

愛川 よく言われます。心臓の心って書いて「こころ」って読むんです。

工藤 いい名前だね。

愛川 ……でも、私、この名前、あまり好きじゃないんです。

小鳥遊 え?

工藤 どうして?

愛川 なんか、皮肉みたいで・・・・・・。

霧島 皮肉?

愛川 私、その、生まれつき心臓の病気をもってるんです。それなのに、心なんて名前……名前負け、してます。

工藤 いいじゃないか。心臓の病気が治るって意味かもしれないよ?

愛川 ……治りませんよ。

小鳥遊 お、おいおい、そんな弱気じゃだめだって!

工藤 そうだ、病は気からというじゃないか。

愛川 ああ、いえ!そういう意味ではなく、この病気、心臓移植でしか助からない病気なもので……。

小鳥遊 移植って心臓の?

愛川 はい。

工藤 そうだったんだ。あ…っと……それなら、こんなところに来て大丈夫だったの?

愛川 ええ、安静にしてれば、自由にしてていいんです。

霧島 (ため息)…手紙の送り主もなにを考えているんだろうね。君みたいな人を呼ぶなんて。

愛川 ・・・・・・・あの、ところで、工藤さん。

工藤 ん?

愛川 あの、ちょっと気になってたんですけど、その大きな荷物って、中に何が入ってるんですか?

工藤 ああ。これね。この中にはね。絵が入ってるんだよ。

小鳥遊 え?

霧島 絵って、絵画がその中に入ってるのかい?

工藤 ああ。そうだよ。

愛川 絵画ですか。絵をお描きになるんですか?

工藤 いや、これは私が描いたものではないんだ。

愛川 え?

工藤 一応美大には行っていたけどね。

           スポット


工藤 そう、あれは私が高校生のときだった。そのころの私は、絵を描くのが好きで、将来画家になりたいと思っていたんだ。でも、画家って不安定な職業だし、本当にその道でいいのか、迷っていたんだ。

     先生・キャンパスを持って来て工藤に学生帽を渡す。

工藤 ある日の放課後、私は美術の先生の手伝いをしていた。

       回想 照明変わる

     先生・熱心に絵を描いている。

先生 すまないね。毎日手伝ってもらって。

工藤 いえ、私が好きでやってるので。

先生 美術、好きなのかい?

工藤 ええ、絵を描くの好きですし。……でも、大学、美大に行くか迷ってて……

先生 迷ってる?

工藤 はい。将来画家になりたいと思ってるんです。それで、まずは美大に行きたいと思ってるんですが……やっぱり、画家として生活していくのは、難しいことなんでしょうか?

先生 そりゃあ、難しいだろうね。いつの時代も、人々に認められる芸術家はほんの一握りだ。

工藤 ですよね……。

先生 画家ね。確かに君が描く絵はうまいからね。

工藤 ありがとうございます。

先生 絵を描くのが好きなんだね。

工藤 あ、はい。

先生 君は綺麗な絵を描くよ。君が描く風景画は綺麗で爽快だ。特に空の色がとても綺麗だ。本物の空と同じくらい深く、大空よりも美しい空だ。十分うまいよ。

工藤 そうですかね……。でも、普通の人より絵が上手くても……自分なんて井戸の中の蛙なんじゃないかって思って……。

先生 井戸の中の蛙?

工藤 ほら、あるじゃないですか、井の中蛙大海を知らずって言葉。

先生 ああ。それね。井戸の中だけで住んでいる蛙は大海原を知らずに生きているってやつだね。

工藤 はい……。

先生 自分は井の中の蛙だと思ってるんだ?

工藤 ……はい。

先生 筆を置いて工藤を見る。

先生 しってるかな?その言葉には続きがあるんだ。

工藤 え?

先生 続きだよ、続き。その話はそこで終わりじゃないんだ。

工藤 ……?

先生 井の中の蛙大海を知らず。されど――空の深さを知る。

工藤 空の……深さ?

先生 そう。確かに蛙は海を知らなかった。でも、蛙が焦がれていたのは海じゃない。――空さ。君が描くような広い空。

工藤 空……。

先生 君は蛙かもしれない。でも、画家という空をちゃんと見すえているじゃないか。

工藤 そう、ですかね。

先生 そうだよ。君だって空を目指せるのさ。

工藤 できますかね。

先生 保証はない。でも、夢、追いかけてみたら?難しいことだけど、可能性は無限にある。それが芸術の面白いところだ。


工藤 ……考えてみます。でも、ありがとうございました。なんか、先生のおかげで、がんばれる気がしてきました。

先生 なぁに。これが教師の仕事だよ気にしないで。


        スポット

工藤 先生の骨にしみる言葉を受けた私は、それからというもの、骨身を削るよな努力を重ね、大学に合格したんだ。

       回想一時終了。照明戻る。
       先生、キャンパスを持ってはける

愛川 それで、画家さんになれたんですね。

工藤 (苦笑)いや……結局、画家にはなれなかったんだ。

愛川 え?

工藤 ちょうど大学を卒業したころだったかな。そのころからだんだん目が見えづらくなってきて、しまいには極端に目が悪くなってしまったんだ。

愛川 目の、病気?

工藤 病院に行ってみたら円錐角膜って診断されたよ。

小鳥遊 円錐角膜?

工藤 すごく目が悪くなる病気だと思ってくれ。それのせいで、私は二度とこの空を描くことができなくなってしまったよ。

小鳥遊 そうだったのか……。

霧島 蛙の目指す空、ね。いい話じゃないか。

愛川 そうですね。

            再び回想。照明変わる

工藤 そして、もう絵が描けなくなった私は、あるとき偶然、先生に再会したんだ。

        過去のどこか

        工藤 歩いている
        先生 登場し、工藤に気づく。

先生 工藤くん。工藤君。

工藤 え?(振り返る)

先生 久しぶり。工藤君。

工藤 あ、えーと、はい……(認識できてない)

先生 いやー、びっくりしたよ。まさかこんなところで会えるとはね。今、何してるの?念願の画家にはなれた?

工藤 えーと…。

先生 どうかした?

工藤 その……

先生 あーもう何年も経ってるし、忘れちゃったかな。ほら、私だよ。松坂だ。高校の時の美術の……。

工藤 あ、先生でしたか……!

先生 (苦笑)まさか、忘れられてるとは思わなかったよ。

工藤 いえ!覚えてました!忘れたことなんてありませんよ!……ただ……。

先生 ただ?

工藤 昔と違って、ほとんど目が見えてないので先生だと分かるのに、時間がかかってしまって……。

先生 目が、見えなく……か。君、まだ画家にはなれてないの?

工藤 はい……。

先生 そうか……まだ夢半ばか。

工藤 あの、先生。私は――。

先生 それはそうか、。君が描くのは繊細な風景画だからね……ほとんど目が見えてないってのは致命的だね……。治る見込みはあるの?

工藤 あ、えーと。角膜の移植を受ければ、人並みに見えるようになるはずです。でも、私は――。

先生 そうか、そうか!いや、よかった。それなら、まだ君の夢は消えてない!はやく治して、はやく画家になれるといいね!

工藤 あの、でも――。

先生 そうだ!君にこれをあげよう!

工藤 え?

          先生 絵の入った鞄を渡す。

工藤 これ、先生が描いた絵ですか?

先生 そうだ。あ、ちょっとまって。

         先生 鞄を開けて絵になにか書きはじめる。

先生 よし!今、完成したばかりの作品だ

工藤 今?

先生 ああ。僕のメッセージつきだ。

工藤 これって、どこかの展覧会に出すものじゃないんですか?それに、私がもらったって、何が描いてあるかもほとんど分からないんですよ……?

先生 もちろん、君が受け取っていい。むしろ、君が受け取るべきだ。

工藤 私が?

先生 この作品は、未来をテーマにした作品だ。

工藤 未来を?

先生 そう、未来を。君が手術に成功して、視力を取り戻したとき、その作品を見てくれないか。

工藤 え、でも――

先生 そのときに、君がまた、すばらしい空を描いてくれることを期待してるよ。

工藤 え、あ………はい……。

先生 あっと、ごめん。急ぎなんだ。それじゃあ、またいつかね。

工藤 先生……私は……

             先生退場
            回想終了。

霧島 それじゃあ、そこに何が描かれているかは、君も知らないわけだ。

工藤 そうだな。だから、この絵は持ち歩いてるんだ。

小鳥遊 持ち歩いてんの!?

工藤 ああ。恩人である先生の作品だからね

愛川 何が描かれてるんでしょう?すっごく綺麗な絵なんでしょうね。

小鳥遊 だろうな。

霧島 工藤さんが治ればその絵が見れる、か。角膜移植を受けるのなら、何ヶ月もしないうちにその絵が見られるんじゃないかな?

工藤 …………。

愛川 それに、あと何ヶ月もしないうちに、また絵が描けるようになるってことですよね!よかったじゃないですか。

工藤 もう、無理だと思うよ。

小鳥遊 は?(同時)

愛川  え?(同時)

工藤 その絵を見ることはないと思うし、私も もう絵を描く日は来ないだろうね。

小鳥遊 どういうことだよ?

霧島 移植を、受ける気がないってことかい?

小鳥遊 は?

工藤 ……ああ、そうだ。

小鳥遊 はぁ?移植を受ける気がないって、あんた、画家になりたいんじゃなかったのかよ。

工藤 もう、何年もまえの話だよ。画家になれなかったのは残念だけど、私はこの生活に不満は持ってないしね。

小鳥遊 は?ほとんど目が見えてない生活に満足してるってのかよ?

工藤 満足はしてないよ。不満がないだけさ。障害者援助を受けながら、それなりの仕事もできて、安定した生活もおくれているしね。

小鳥遊 でも…

工藤 いいんだ。私にとって、それは終わった話なんだ。画家になりたかったという思いも、もう終わった話さ。だからこそ、こんな場面で語る気になったのさ。

小鳥遊 終わった、話……。

工藤 そう、終わった話だ。

小鳥遊 終わっ……た……。

      小鳥遊 様子がおかしい

愛川 でも、せっかくの夢を諦めちゃっていいんですか?

工藤 諦めたというより、別の道を選んだだけだよ。

愛川 でも……。そんなに割り切っちゃって、後悔とか絶対残ってると思います。小鳥遊さんもそうおもいますよね?

小鳥遊 ……。

愛川 小鳥遊さん……?

小鳥遊 あーうん。そうか…な?

愛川 え?

小鳥遊 ……終わった話なら…さ、仕方ねえんじゃないか。

愛川 え、ど、どうしたんですか。さっきまで私と同じ意見でしたのに。

小鳥遊 まあ、工藤さんが言ってる事も正しいかなって……。なあ、霧島。

霧島 まあ、本当に終わってるんならいいんじゃない。

小鳥遊 ま、そういうわけだ。

愛川 そんな……。

工藤 そう、終わったことだ。

霧島 物事には必ず終わりがあるしね。

小鳥遊 ああ。そうだ……。終わったことに、いつまでもこだわってちゃだめなんだよ……

愛川 ………。

工藤 ああ、ごめんね。なんかしんみりしちゃって。ハハ…やっぱ変なこと話すもんじゃないな。

愛川 ……いえ、とんでもないです。

        小鳥遊 様子がおかしい

愛川 でも、小鳥遊さんは、どうして急に――小鳥遊さん?

小鳥遊 え、ああ…何?

霧島 顔色が悪いよ。小鳥遊君。

工藤 どうかしたの?

小鳥遊 あ、ああ。大丈夫大丈夫……ちょっと昔のこと思い出しちゃって。

愛川 昔のこと?

工藤 なにかあったの?

小鳥遊 ………話したくない。忘れたいことなんだ。昔のことなんて……。

霧島 それほど、昔のことじゃないとおもうけどね。

愛川 え?

工藤 ああ、そういえば、二人は顔見知りだったね。

霧島 ああ。小鳥遊くん。君、いい加減逃げるのはやめたら?

小鳥遊 あ?

霧島 きみも、もう自分は終わったと思っているのかい?

小鳥遊 なんだよ。急に。

霧島 君は、本当にそれでいいのかな?

小鳥遊 ……。

霧島 物事って、そんなに簡単に『終わる』ものなのかな。

小鳥遊 ……何が言いたいんだよ……。

霧島 終わってしまったようでも『何も残っていない』事なんてあるのかな。君の友達がそれを教えてくれたんじゃなかったのかい?

小鳥遊 やめろ……!!

霧島 たとえ君が事故で――

工藤 事故?

小鳥遊 やめろ!!(霧島の胸倉をつかむ)

愛川 ちょっと。急にどうしたんですか二人ともさん!(仲裁に入る)

霧島 さあ?どうしたんだろうね。

小鳥遊 クソッ(離す)……なんでもねえよ。

霧島 まさかここまで怒るとはね。ずいぶんと過去に執着してるね。

小鳥遊 うるせぇ。

愛川 過去?

霧島 せっかく工藤さんの過去を聞いたんだ。次は、君の過去を話してみたらどうだい?

小鳥遊 ……霧島、そんな事を言わせるために俺をここに呼んだのかよ。

霧島 さあね。

小鳥遊 用がないなら、帰るからな。

    小鳥遊・帰ろうとする

愛川 え、帰っちゃうんですか?まだ手紙のことも分かってないのに……

小鳥遊 俺には関係ない。

     小鳥遊 はける

愛川 あっ

全員 ………。

工藤 ……帰ってしまったね。

愛川 はい……。

霧島 あーあ。逆鱗に触れちゃったね。

工藤 霧島さんが怒らせるようなことを言うからだろう。

霧島 そうかもね。

工藤 それで、さっき霧島さんが過去がどうのとかって言ったら、小鳥遊君が怒ってたけど。昔、なにかあったの?

霧島 ………そうだね。あったよほんの少し前にね。あの子はそれに執着しすぎてるんだ。

愛川 過去に、ですか?

霧島 そう、過去。過去の自分に囚われているんだ。

愛川 自分の?

霧島 自分の影とでもいうべきかな。

工藤 影?

霧島 そう。実態のないものに囚われすぎなんだよ。どうあがいても、逃げられないのにね。

愛川 そんなに……深刻な事なんですか?

霧島 そうでもないよ。小鳥遊君は実際以上に事実を受け止めすぎなのさ。

工藤 悩みなんて、大体そういうものだろ?

霧島 そうだね。

愛川 そういえば、小鳥遊さんは霧島さんが呼んだんですよね。なにか用があったんじゃないんですか?

霧島 用はもう済ませたよ。

愛川 そうなんですか?

霧島 あと、頼みごともあったけど。まあ、それはまた今度でいいかな。

愛川 ?

工藤 ところで……もう結構な時間が経つけど、もう誰も来る気配がないね。

愛川 あ、そういえばそうでした。

工藤 ……結局この手紙はイタズラだったってことかな。

霧島 さあね、イタズラにしては、ちょっと地味だと思うけど。

工藤 そうかなぁ。

愛川 まあ、もう少し待っていたら何かあるかも知れないじゃないですか。

工藤 いや、私はちょっとそういうわけにはいかなくて。

愛川 え?

工藤 この後予定があるんだ。もう、行かなきゃいけないかな……(腕時計を見て)

愛川 あ、そうなんですか。

霧島 手紙のこと、まだ何もわかってないけど、行くのかい?

工藤 こんなの、いたずらだよ。

霧島 そうかな。僕は、何か意味があると思うけど。

工藤 意味?どんな意味?

霧島 さあね。でも、いたずらって事は無いと思うけど。

工藤 どうして?

霧島 なんとなくだよ。

愛川 私も、なんとなくですけど…この手紙には、何か意味があると思います。だから、もうちょっと待ってみませんか?

工藤 いや、だから私にも用事があるんだよ。

愛川 あ、そうでした…。

工藤 まあ、そこまで言うなら……私も時間を見て、また今度来るよ。

霧島 うん。そうして。

工藤 じゃあ、私はこれで。さよなら。

愛川 あっ。あのっすいません。もうひとつだけ。

工藤 え?

霧島 どうしたの?

愛川 あの……今日、すごく楽しかったです。

工藤 え、ただ、話してただけだけど。

愛川 それが、楽しかったんです。私、ずっと入院してて、お見舞いに来る人も少なくて、こんなに人といろいろ話したの久しぶりだったんです。

工藤 そうだったんだ。

愛川 はい。

工藤 私なんかの話でそんなことを言ってもらえるなんて、うれしいな。

愛川 それで、その……だから、あしたも、また、会えませんか?

霧島・工藤 え?

愛川 もし、よければ、明日、またお話できませんか?お二人が、よければですけど……。あ、小鳥遊さんもできたら、呼んで。

霧島・工藤 顔を見合わせる

霧島 僕はいいけど……

工藤 うーん。わたしも、明日は用事もないし……。

愛川 いえ、お二人が迷惑ならいいんです。私が勝手言ってるだけなので……!

霧島 いや、僕も愛川さんほどじゃないけど、結構入院してるからね。僕だって楽しかったよ。

工藤 私も、まさか自分の昔話を語ることになるとは思わなかったけど、それでも、久しぶりにこんなこと話せて、楽しかった。それに、こんな手紙(手紙出す)で集められたのだって、何かの縁だろ?

愛川 確かに、ちょっと運命みたいなものを感じちゃいますよね。(手紙出す)

霧島 ひょっとしたら、手紙の送り主は(手紙出す)こうなることを望んで手紙を送ったのかもよ?

愛川 こうなることって、こうやって私たちがお話すること、ですか?

霧島 そ。まあ、じゃあ とりあえず小鳥遊君は僕が呼んでおくよ。

工藤 でも、彼は、呼んでも来ないんじゃないか?

霧島 それは僕に任せておけばいいから。

愛川 お願いします。

工藤 時間は、今日と同じ時間でいいよね。

愛川 はい。

霧島 了解。

工藤 じゃあ、私はそろそろ失礼するよ。

愛川 あ、はい。

霧島 愛川さんも、もう病室戻ったほうがいいんじゃない?

愛川 え、でも……

霧島 僕はもう少しここにいるから、愛川さんも、もう戻ったほうがいいよ。

愛川 でも、別に私、用事とかないですし……。

霧島 こんな寒い日に、いつまでもここにいたら、体壊すよ。今も愛川さんにお見舞いに来てくれる人たちのためにも、体に気をつけて。

愛川 ……そうですね。わかりました。では、明日、何かわかったら教えてくださいね。

霧島 わかってるよ。

愛川 では、また明日です。

工藤 うん、二人とも、また、明日。

霧島 また、明日。

 工藤 退場。

             愛川 退場。
    
         霧島 しばらく空を眺める。

             死神 登場

死神 何がしたいんですか、あなたは

霧島 (嘆息)そこは舞台設定上空中なはずなんだけどね。

死神 なんのことですか?(近づいてくる)

霧島 なんでもないよ。

死神 で、何がしたいんですか、あなたは?

霧島 目的ならあるよ。今日はそれに確信が持てた。

死神 どういうことですか?

霧島 さあね

死神 ……まあいいです。それより、あの三人。それぞれ悩みや病気を抱えているみたいですね。……わたしなら、すぐにでもそれらを解決できますよ?

霧島 でも、タダではないんだろ?

死神 もちろん。あなたの魂と引き換えで、ですよ

霧島 だろうね。

死神 でも、いいじゃないですか。残り短い命です。何を企んでいるかは知りませんが、そんなことよりも、その命を人助けに使ってはどうですか?

霧島 どうかな

死神 彼らは、苦しんでいますよ?助けなくていいんですか?

      死神 霧島を誘惑するようによってくる。

      霧島 立ち上がる。

霧島 誘惑には乗らないよ。

死神 誘惑だなんて、あなたが誰かの役にたてることを伝えたまでです

霧島 それもそうだね。

死神 それに、いいことを教えてあげましょうか。愛川 心。あの心臓病の女の子は、近いうちに死にますよ。

霧島 …………。

死神 病状が悪化し、そのまま心臓移植のドナーが見つからずに、確実に死にます。それこそ、神様の力でもない限り助かりませんよ。

霧島 それは大変だね。

死神 助けなくていいんですか?

霧島 残念ながら、そんなことで僕の魂を使いたくないね。

死神 『そんなこと』ですか。見かけによらず、残酷なことを言うんですね。

霧島 残酷なんかじゃないよ。むしろこれは慈愛さ。

死神 慈愛?

霧島 ……『死神はその者に不幸となる形で願いを叶える』

死神 え?

霧島 死神との取引で、願いを叶えた者は最終的に必ず不幸になる。そういう戒めさ。

死神 すべての死神がそうとは限りませんよ。

霧島 そうかもね。でも、君は信用するに値しない。

死神 ……。……本当に見透かせない人ですね……。結局何がしたいんですか

霧島 いいんだよ。気にしなくて。君は僕の願いを叶えてれればそれで。

死神 ………まあ、いいです。どの道あと29日経てばあなたの魂は勝手にいただきます

霧島 そんなにはかからないよ。じゃ、僕ももう戻るよ。寒いからね。(退場しようとする)またね死神さん。

          霧島 退場

死神 ……あなたは、一体何を願うつもりなんですか。


              花道 サス
          電車内 
          小鳥遊眠っている
          過去夢
          ホリゾン 着く

       中央に影1がいる。
 
影1 小鳥遊!小鳥遊ぃ!

影2登場

影1 おい、小鳥遊。マネージャーどこいったか知らねぇ?

      影2首を横に振る

影1 マジかよ。んじゃまあいいや、今日の練習分のアクエリ足りねえからよ。あと3本くらい買ってきてくんね?

      影2 アドリブ

影1 おま、パシリって人聞きの悪いこと言うなよ。金は部費から出るだろ。ほら、先輩命令先輩命令。陸上部の上下関係は厳しいんだ。行った行った。
    影2 退場しようとする

影1 ああ、待て。

    影2 止まる

影1 自転車で行け。ほら(鍵を渡す)誰かの鍵貸してやるから。

    影2 会釈してから退場

影1 インターハイで使う足なんだ。事故んなよ!

影3 登場

影1 お、遅かったじゃん。マネージャー。

影3 普通に名前で呼んでよ。先生に自転車借りに行ってたのよ。

影1 あ?自転車?なんで?

影3 あたしの自転車、壊れちゃって。買出しにいけないみたいだったから。

影1 壊れたって。パンクでもしたのか?

影3 それなら、よかったんだけど、ちょっと乗るのが怖くなったから……。

影1 怖い?

影3 あの自転車。ブレーキが壊れてるのよ。

             衝突音

舞台暗転 

       小鳥遊 驚いて目を覚ます。

       小鳥遊 頭を抱える。

            暗転

翌日

           愛川 寒そうにしている。

            工藤 登場

愛川 あ、こんにちは。

工藤 愛川さん。こんにちは。

愛川 来るの早かったですね。

工藤 愛川さんこそ、待ってたんじゃない?

愛川 ええ。だれかと待ち合わせるのも久しぶりのことだったんで、ちょっと早く来すぎちゃいまして。

工藤 この寒い中よく待ってたね

愛川 確かに……もうちょっと着込んでこればよかったです。

工藤 寒いの?

愛川 ほら、見ての通り、薄着じゃないですか。

工藤 ああ、そうだったんだ。

愛川 あっ。ごめんなさい!見えづらいんでしたよね……

工藤 いやいや、謝られるようなことじゃないよ。そんなことより、愛川さんは、もっと自分が病人だって自覚して。ほら、これ使って。

工藤 上着を愛川にかける

工藤 ただでさえ心臓病で体力がないんだから、こんなことで風邪をこじらせでもしたら一大事だ。

愛川 あ、すみません。ありがとうございます。でも、工藤さんが寒いんじゃないんですか?

工藤 私は目が悪いだけだ。例え風邪をひいたって愛川さんよりは一大事にならないよ。

愛川 目が悪い……ですか……。

工藤 どうかしたの?

愛川 あの、工藤さん。その、余計なお世話かもしれませんが…やっぱり、手術、お受けにならないんですか?

工藤 あ、ああ。僕の中で踏ん切りはついてるし、心を変えるつもりはないよ。この絵は、二度と見られないことになるけどね。

愛川 そうですか……。

工藤 うん……。

愛川 ……あの、工藤さん。

工藤 何?

愛川 だめならいいんですけど……その絵、工藤さんの代わりに……私が見るのはだめですか?

工藤 ……え?
愛川 いえ、ただの好奇心とかじゃなくて!……あ、でも、好奇心もちょっとはありますけど…その、なんていうか、せっかく工藤さんの先生が描いてくれた絵だから、誰にも見られないのは、その先生も、不本意なんじゃないかと思っちゃって………

工藤 ああ、そうかもね。

愛川 それに、私自身も、純粋に見てみたいと思うんです。お話に聞いたような先生の絵が、どんな絵なのかを。

工藤 …………。

愛川 ……やっぱり。だめですか?

工藤 ……いや。いいよ。

愛川 本当ですか!

工藤 うん。愛川さんの言うとおり、誰にも見られない芸術ほど悲しいものはないね。よっと(立ち上がる)

愛川 ありがとうございます

工藤 私は向こうを向いてるから、その間に見てくれ。ああ、なるべく絵が描かれてる部分には触らないようにしてね。

愛川 あ、はい。…あの、私から言っておいてなんですけど、本当にいいんですか?

工藤 いいんだよ。もう私は見られないんだ。美しい絵は人に見られるべきだよ。(絵の入った鞄を渡す)

愛川 ありがとうございます。

         工藤 少し離れて愛川に背をむける。

       愛川 鞄からキャンパスを取り出す。

愛川 え……これって……。(絶句)

         愛川 キャンパスを撫でる。

工藤 先生も、小さいころから絵が好きだったらしくてさ、僕みたいに画家になりたいって夢を持ってた時期があったらしいんだよ。まあ、学生時代はみんな夢くらいもつよね。

愛川 ………。

工藤 愛川さんは?

愛川 えっ?な、何がですか?

      愛川 キャンパスを鞄にしまう。

工藤 愛川さんは、ほら、夢とかあるの?心臓の移植手術ができたら、やりたいこと。

愛川 やりたいこと……ですか……。あ、もう、見ましたので、お返しします。

工藤 ああ、うん。どうだった?

愛川 ちょっと……よく分かりませんでした……。

工藤 ハハハ。まあ、芸術ってそういうものだよね。

愛川 そうなんですか……。

工藤 で、なにかあるの?やりたいこと?

愛川 私、入院と退院繰り返してて、学校もまともに行けなかったので……。

工藤 ああ。あんまり、やりたいこととか想像できない、みたいな感じかな?

愛川 いえ!むしろやりたいことばっかりなんです!(急に元気に)

工藤 あ、ああ。そうなんだ。

愛川 ずーと病院にいたりするとですね、本を読むか、テレビを見るかしかできないんです。それで、テレビっていろんな職業の人が出てきますよね。それをみてると、あれをやりたい。これをやりたいって思うようになるんです

             照明変わる

愛川 私アルバイトもしたことないので、コンビニの店員とかにもあこがれました。

           小芝居  コンビニ  工藤→客 愛川→店員 

          客 来店

店員 いらっしゃいませ!

客 すいません赤マルのボックスください

店員 え?

客 赤マルのボックスです

店員 え、アカマル?え?え?

客 あーもう!タバコだよタバコ!マルボロのその箱に入ってるやつ!

店員 あ、はい!すいません!えーと、これですね。

客 あと、このお茶も一緒に会計して。

店員 あ、はい!えと、えーと、あたためますか?

客 お茶温めるの!?ホットは別売りだろ!

店員 あぁー、ごめんなさ~い!!

           小芝居終わり 照明 戻る

愛川 やっぱり、私には難しいかもしれません……。

工藤 そうかもね。

愛川 あと、テレビとかでよく見るお笑い芸人とかにもあこがれました!

       照明変わる   小芝居  お笑い芸人  愛川→芸人

芸人 どーもー愛川 心です!

芸人 いやーみなさん!夏ですねー……。

芸人 って、もう冬やないかー!

芸人 ……………。

芸人 えーと、夏は暑いですねー!あっ間違えた!暑は夏いだ……!えーと、えーと…。

芸人 夏が暑いのはあたりまえやろ~!ああ、でも、北半球は夏寒いらしいし……

工藤 ……愛川さん……!(壮絶な顔)もうやめよう……!!

          小芝居終了 照明戻る

愛川 芸人さんも向いてないみたいです……。

工藤 ま、そ、そんなことないよ。独創的だったよ

愛川 え、面白かったですか!

工藤 ……………………………………………………………………………う……ん。(壮絶な顔)

愛川 うそじゃないですかぁぁ!

霧島 登場

工藤 あ、ああ!霧島さん!

霧島 やあ。二人とももう来てたんだ(落ち込んでる愛川を見て)………どうしたの?

工藤 いや、愛川さんのあこがれてた職業の話をしてて、ちょっとね。

愛川 なんでもないです……

霧島 ?

愛川 それにしても………やっぱり、小鳥遊さん来てませんね……。

工藤 そうだな。

霧島 一応メールは打ったし来るはずだけどね。

工藤 でも、昨日あんな怒って帰っちゃったんだし。来ない可能性のほうが高いと思うけど……

愛川 私たちと違って、学生さんですしね。いろいろ忙しいのかもしれません。

霧島 まあ、なんだかんだ言って来ると思うよ。彼は押しに弱いからね。

愛川 え?

           小鳥遊 登場。

霧島 ほら、来た。

愛川 小鳥遊さん!来てくれたんですか。ありがとうございます。

小鳥遊 別に、俺は……。

霧島 照れてる?

小鳥遊 照れてねえ

霧島 まあ、小鳥遊くんは押しによわいから。

小鳥遊 うるせえ。

工藤 でも……本当に、昨日のメンバーが集まったね。

愛川 はい。

小鳥遊 で、ここでなんか話すって聞いたけど、何を話すの?

工藤 あー。そうだね……。

霧島 普通に雑談でしょ。話題は?

愛川 改まって聞かれると、話題、出づらいですよね……。

霧島 じゃあ、愛川さんの夢について、なんてどうだい?

愛川・工藤・小鳥遊 え?(は?)

霧島 ほら、さっき、工藤君と愛川さんで、愛川さんがあこがれてた職業について話してたんだろう?

愛川 え、は、はい。コンビニの店員とか、そういうのになりたいって……。

霧島 よし、じゃあ、それのシミュレーションをしてみよう。

小鳥遊 はあぁぁ!?

工藤 それ、さっき失敗したんだけどね。

霧島 いいから、いいから、じゃ、シミュレーションコンビニ。客は小鳥遊くんね。

小鳥遊 は?え?あ?

霧島 ほらスタート。

           照明変わる シミュレーションコンビニ

小鳥遊 あー小腹すいたなー。お、ちょうどいいところにコンビニが……よし、ちょっとコンビニよってみるか。ウィーンってちょっとまてぃ!

           照明戻る 

なんだよこのコントみたいなやりとり。いやな予感しかしねえぞ。

霧島 ハハハッ。いいじゃないかこうやって雰囲気に流されるのも。

小鳥遊 はぁ!?……あんたホントに霧島か?さっきから全然あんたらしくない言動だぞ?

工藤 確かに、昨日より異常なテンションだね。


霧島 そんなことないって。病気のせいだよ。なんとなくそういう気分なんだ!

小鳥遊 いままで見たことないくらいテンション高いな……。

霧島 ほら、シミュレーションスタート。

照明変わる シミュレーションコンビニ

小鳥遊 あー小腹すいたな。お、ちょうどいいところにコンビニが……よし、ちょっとコンビニよってみるか。ウィーン

愛川 あ、いらっしゃいませ!

小鳥遊 えーと、これで……。(棚から物をとる仕草)はいハーゲンダッツ。

愛川 ……。

小鳥遊 ……はい、ハーゲンダッツ!

愛川 ……。

小鳥遊 なんか言えよぉ!

愛川 お客様……。

小鳥遊 なんだよ。

愛川 レジはどうやって使うんでしょうか?

小鳥遊 それぐらい知っとけよ!つーかシミュレーションなんだから、それくらい知ってるって設定でやってくれよ!

愛川 あ、そうですね。分かりました。じゃあ、ピッピッピ。お会計284円です。

小鳥遊 はい。300円

愛川 ピッピッでは、おつりの16円です。お箸は何本お付けしましょう?

小鳥遊 ああ、一本つけと――かなくていい!!なんでアイスに箸なんだよ!ハーゲンダッツ買ったら専用のスプーンついてくるから!

愛川 あ、すいませ~ん!

         シミュレーション一時終了

霧島 だめだなぁ。愛川さん。じゃあ店員交代!

小鳥遊 またやるのかよ!

霧島 つべこべ言わない。じゃあ、次工藤さん店員。

工藤 あ、ああ。

        シミュレーション 再開

小鳥遊 あー小腹すいたなー。お、ちょうどいいところにコンビニが……よし、ちょっとコンビニよってみるか。ウィーン

工藤 いらっしゃいませ。

小鳥遊 えーと、これで……。(棚から物をとる仕草)はいハーゲンダッツ。

工藤 ピッピッお会計は284円になります。

小鳥遊 お、今度は、普通だな。はい300円。

工藤 おつりは16円になりますが、募金箱に入れさせていただきます

小鳥遊 待て待て待てぃ!客のおつりを勝手に募金するな!

工藤 しかしお客様。現在東北の人々が苦しんでいます。些細なことでも支援しなければ。

小鳥遊 そう思うなら、自分の金を募金しろぉ!俺の金を使うな!

工藤 では、お客様は、東北の人たちがどうなってもいいと?

小鳥遊 いや、そういうわけじゃないけどさ、募金ってあくまで個人の自由ですることであって強制するものじゃないだろ?

工藤 その考えがいけない!強制ではないといって募金しなければ、いつまでたっても復興は終わらない!だからこそ私はこうやって人々のおつりを募金してるのです。

小鳥遊 壮大なカツアゲだな。

工藤 ご理解いただけますか?

小鳥遊 ああもういいよ!もってけもってけ!

            シミュレーション 一時終了 

霧島 だめだなぁ工藤さん。小鳥遊君のいじめ方が甘い

小鳥遊 すでに趣旨が変わってるんだな。

霧島 じゃあ、最後は僕がやろう。

            シミュレーション再開

小鳥遊 あー小腹すいたなー。お、ちょうどいいところにコンビニが……よし、ちょっとコンビニよってみるか。ウィーン

霧島 いらっしゃいませ。アダルト雑誌はあちらでございます。

小鳥遊 別にエロ本は買わねえよ!えーと、これで……。(棚から物をとる仕草)はいハーゲンダッツ。

霧島 ピッピッお会計は284円です。

小鳥遊 はい、300円

霧島 ピッピッ。お客さまおつりはいくらになさいましょうか?

小鳥遊 なんでおつりの額が変動するんだよ!16円だよ!

霧島 そんなことよりアイスを温めますか?

小鳥遊 温めねえよ。そして16円よこせ!

霧島 16円を奪うなんて女々しい強盗ですね。

小鳥遊 強盗じゃねえ!むしろあんたが俺のお金とってるから!

霧島 そんなことよりお客様。大変です。

小鳥遊 な、なんだよ。

霧島 今のやり取りの間にアイスが溶けてしまいました。

小鳥遊 うわ、最悪だ。…まあいいよ。別のやつと取り替えるだけだから。

霧島 その必要はございませんお客様。

小鳥遊 え?

霧島 こんなこともあろうかと、懐で温めておいたアイスがあります。

小鳥遊 余計にドロドロじゃねえか!いらねえよ

小鳥遊 (ハーゲンダッツ取り替えて置く仕草)ほら。

霧島 284円です。

小鳥遊 はいはい……ってさっき払っただろうが!はやく16円返せ!
霧島 申し訳ございません。すでに募金してしまいました。

小鳥遊 この店員最悪だぁ!

          シミュレーション終了

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続き
霧島 ハハハッ。なかなかこういうのも楽しいね。

小鳥遊 俺は疲れただけだ。ってかあんたホントにテンション高いな。なんかあったの?

霧島 なにもないさ。

愛川 ふふふっ。でも、本当に面白かったです。

小鳥遊 愛川さんまで……。

工藤 私も見ていて楽しかったよ。いや、若いって言うのはいいね。

小鳥遊 何言ってんだよ。あんたもまだまだな歳だろ。

工藤 私はもう無理だよ。年齢ではなく、この目じゃあ大概の事はできない。

霧島 移植を、受ければいいじゃないか。

工藤 ………移植を受けたって、もう、前と同じような絵を描けるとは思えない。それに、不自由ながらも今の生活は安定している……。わざわざそれを手放してまで、いまさら画家になろうとは思わないよ。

小鳥遊 あのさぁ。あんた、結局怖いだけなんだろ。

工藤 え?

小鳥遊 楽な生活送りたいなら、移植を受けても画家にならなきゃいいじゃねえか。どうしてそうしねえんだよ。

工藤 ………。

霧島 その絵が、君の恩人である先生からもらった絵が、君を縛ってるんだろう。

工藤 そんなことは……。

小鳥遊 先生との約束を守りたい。でも、やっと手にした安定した生活を捨てるのが怖いんだろ。だから、目を治さねえんだ。

工藤 ……。

愛川 工藤さん。絵を描くの、今でも好きなんですよね。

工藤 ああ。

愛川 それなら、やっぱり夢を目指したほうがいいですよ。

霧島 『難しいことだけど、可能性は無限にある。それが芸術の面白いところだ』君が高校生のとき、君の先生はそう言ってくれたんだろう。なら、その言葉を信じてみればいいじゃないか。

工藤 いまからか?何年も絵を描かず、景色もまともに見れなかった私が?そんなの無理だ。私はもう、終わってるんだ。

小鳥遊 あんたはまだ終わってないだろ!あんた自身がその道を選ばないだけだろ。蛙は空を目指すんじゃなかったのか!

工藤 じゃあ、君はどうなんだ!

小鳥遊 …!?

工藤 君の過去に何があったかは知らないけど、君だって、自分は終わったと思ってるんじゃないのか。君だって、自分の言ってることが理想論だって分かってるんだろ!

小鳥遊 そ、それは……!

工藤 どれだけ空にあこがれても……蛙は空を飛べないんだよ……。

小鳥遊 ………。

愛川 工藤さん……。

霧島 ……工藤さん。本気でそう思っているなら、どうして、いまだに絵を持ち歩いているんだい?こんなもの、早く忘れてしまえばいいのに。

工藤 これは……。

霧島 君だって諦めきれてないんだろう

工藤 でも、私はもう……

霧島 工藤さん。それに、小鳥遊くん……空ってどこからが始まりなんだろうね。

工藤 え?

霧島 ほら、みんな空、空って言うけどさ。一体どこからが空なんだろうね。

工藤 ……?

霧島 僕はね、地面より上は全部空だと思うよ。

愛川 全部……?

霧島 うん。小鳥遊君も、工藤さんもさ、空に憧れすぎて、空を高く感じすぎなんだよ。

小鳥遊 あこがれすぎてって…

霧島 だから、工藤さん。終わったと思うには、まだ早いよ。空は、ここにあるんだ。羽なんかなくたって、地面を蹴り上げればそこは空だ。

工藤 空…。

霧島 絵を描くのが好きなんだろう?じゃあ、もう一度だけがんばってみたらどうだい?無駄だったかどうかは他人が決めるんじゃない。自分で決めるんだ。

工藤 がんばる………か…。

小鳥遊 あんたなら、がんばれるだろ、そんなに絵が好きなんだからよ。

霧島 まあ、そのためにはまず、移植を受けないとね。

工藤 (苦笑い)言われてみれば、それもそうだね。目を治さなきゃ先生との約束も守れない。

愛川 え、じゃあ、工藤さん……。

工藤 ……うん。また、がんばってみようと思う。

小鳥遊 そっか。

工藤 それにしても、本当に不思議だよ。私たちは、知り合って間もないのに、なぜか、こんな深い話をしている。

愛川 あ、そうですね……。

工藤 手紙の送り主の目的はこれだったのかもね。

愛川 え?

小鳥遊 俺たちと、こんな話をさせるために?

工藤 そう……。だとしたら……次は、小鳥遊君。君の番だよ。

小鳥遊 え?俺?

工藤 君の話を聞かせてくれないか

愛川 そういえば、小鳥遊さんのお話は聞いていませんでしたね。

小鳥遊 マジで…?すげー断れない空気じゃん。

工藤 私だって、自分の過去と向き合えたんだ君にだってできるよ。

霧島 僕から話そうか?

小鳥遊 いや、いいよ。自分で話す。長い話でもないしな。

霧島 そうかい。

            照明変わる

小鳥遊 工藤さんと違って単純な話だけどよ。俺さ、半年前まで陸上部でさ、実力もインターハイ行くくらいはあったんだ……。

工藤 インターハイって、すごいじゃないか。

小鳥遊 (照れる)ありがと。んでさ、インターハイの何日か前に、いろいろあって事故っちまって。足の骨と、ひざの半月版が折れて、選手生命ってやつ?それで、もう、前みたいに走れなくなったんだよ。そんだけの話。

愛川 酷い……。

小鳥遊 正直全然やるせなかったよ。普段信じてもない神様恨んだりしてた。

霧島 神様を呪う、ねぇ。

愛川 私も、そう思ったときがありました……。

工藤 私も、目が悪くなったときはそう思ったな……。

霧島 そうだね。誰も悪くないとき、攻められるのは自分か神様ぐらいだもんね。

小鳥遊 そーそ。そんだけ、そんだけ。俺の話終わり!ほら、辛気臭いのなしなし!次はなんか明るい話にしようぜ!

愛川 じゃあ、もう一回コンビニやります?(少し苦しそう)

小鳥遊 あれはやらねえから!

霧島 じゃあ、小鳥遊君に面白い話をしてもらうよ。

        愛川 苦しそうにする。

小鳥遊 ハードルあげんなよ!

工藤 いや、それを皮切りに私たちも面白い話するから。

小鳥遊 しなくていいって!別に面白くなくていいから!明るい話でいいって!

工藤 いや、そういうわけに――

        愛川 倒れる

小鳥遊 あ、ちょ、愛川さん!?

工藤 大丈夫!?

         照明 徐々に暗くなっていく

霧島 まずいぞ!小鳥遊君先生を呼んできて!

小鳥遊 え、でも、

霧島 君しか行けないだろ!早く!

小鳥遊 あ、ああ!(走り出す)

工藤 愛川さん!しっかり!




        スポット

小鳥遊 このときほど、早く走りたいと思ったことはなかった。もう、前ほどの速さで走れない自分がもどかしかった。そして、それからの時間は矢のように過ぎた。愛川さんは今すぐにでも移植をしなきゃならないような、予断を許さない状態になったらしい。俺たちとはしゃぎすぎたせいだ。3人そろって医者に怒られた。命にかかわることなので医者も本気で怒っていた。そうして、家に帰った俺は心臓の病気について調べた。心臓移植のドナーはほとんど脳死した人らしい。そして脳死する人が少ないから、心臓病の患者の3分の1が移植を受けられない。このままじゃ、愛川さんは……。

   
         暗転
            
           数日後 病室
           霧島と死神がいる。

霧島 さあ、待ちに待ったときが来たよ。

死神 結局、あの人を助けるのですね。

霧島 もちろん。

死神 いいんですか?死神への願いは不幸な形で叶えられるんじゃなかったんですか?彼女不幸になっちゃうかもしれませんよ?

霧島 それはないよ。彼女は君の力で助けるわけじゃないから。

死神 え?

霧島 それにしても、無理にテンションを上げたかいがあったね。予想よりも早く様態が悪くなってくれた。

死神 どういう・・・ことですか。

霧島 ほら、せっかく死神の力を使ったのに、ほかの人に心臓が行っちゃったらかっこ悪いでしょう?

死神 さっきから、なにを……。

霧島 さ、契約契約。あ、ちなみに君と契約して魂とられたら死ぬんだよね

死神 ええ……。当たり前でしょう。

霧島 それじゃあ、僕に関する契約だったら、僕は不幸になるかも知れないけど、別に死ぬから関係ないってことだよね。

死神 ええ。

霧島 ふうん。やっぱりね。よし、じゃあ、早速契約しよう。工藤さんの手術も、近いうちにあるしね。

死神 は?

霧島 いやいや、こっちの話。

死神 本当によく分からない人ですね。それで、なんて契約すればいいんですか?

霧島 そうだな。僕を死なせてくれ。

死神 は?

霧島 殺すんだよ僕を。魂を抜く前に。ちなみに脳死にしておいてくれ。ああ、脳死が人の死かって言う議論はここでは無しだ。とりあえず脳死にしてくれればそれでいい。

死神 脳死って。なんでそんなことするんですか。

霧島 人間も馬鹿にはできないよ。魂なんかなくても、体があれば移植ができるんだからね。

死神 …………そういうことですか。

霧島 これなら、誰も不幸にはできないだろう?契約はしっかり守ってね。

死神 …………。分かりました。契約しましょう。

霧島 ああ。ちょっと待った。(電話をかける)

          花道 サス

        着信音

霧島 ああ、小鳥遊君?今から僕の病室来てくれない?

小鳥遊 病室?今から?

霧島 いいからいいから。あー、ナースコールのやり方ってわかる?

小鳥遊 分かるけど……。

霧島 そう。あ、あと、引き出しの中に僕の手紙が入ってるから、見ておいて。

小鳥遊 は?どういう……。

霧島 じゃ、小鳥遊君。さよなら。

           電話切る

霧島 待たせたね。それじゃあ、始めようか……。

        ゆっくり暗転

            スポット3つ

          小鳥遊 工藤 愛川 手紙を読んでいる。

霧島(音響) やあ、小鳥遊君からこの手紙をもらったときには愛川さんも工藤君も手術は終わっているころだね。まさか失敗はしてないと思うけどさ。お察しの通り、あの日手紙を使って君たちを集めたのは僕だよ。理由は、まあ、分かるんじゃないかな?君たちは何もしてない、むしろ、幸せになるべき人間なのに、理不尽に人生を狂わされた。そんな人は世界中にいっぱいいるだろうけど、まあ、これくらいの偽善も悪くないと思う。どうせ、死ぬんなら、君たちを救って死のうと思ってね。
        3人 それぞれ悲しむ仕草をする。

霧島(音響) やっぱり、チャンスは活かさないとね。なかなか、楽しい人生だったよ

                明転 屋上
            愛川 工藤 小鳥遊がいる

小鳥遊 霧島……俺、バスケ部に入ることにしたよ。前よりは遅いけど、それでも十分バスケに活かせるくらいのスピードだったからさ。あんたのおかげだぜ。霧島……。

工藤 私も、彼のおかげで、先生の作品を見ることができた。まさか、思いもしなかった作品だったよ。見てくれよ。

      絵を取り出す。  


小鳥遊 白…紙…?

工藤 そう。何も描かれていない。

愛川 私が見たときもびっくりしました。

小鳥遊 どういうことだ?
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あとがき

作者 汐

記念すべき大会用台本第一本。

二か月くらいで書きましたが、途中でぐだってきてしまった作品です。

もしかしたら書き直すかも

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